大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和39(オ)1444 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人熊谷正治の上告理由第一点について。

原判文によれば、本件畜舎は独立の建物であり、ただ、登記簿上、主たる建物の

附属建物として同一登記用紙に登記されたにすぎないことが看取できる。このよう

に、独立の建物が主たる建物の附属建物として同一登記用紙に登記されたからとい

つて、実体法上一個の建物としての独立性を失う理由はないから、登記の効力の有

無も主たる建物と別異に論定することができるものといわなければならない。され

ば、原審が、上告人が、昭和三九年三月一日、本件建物につき所有権移転請求権保

全の仮登記に基づく本登記を経由した当時、本件建物中本件畜舎が被上告人B1の

手により既に取り毀わされ、滅失していた事実を確定したうえ、登記は不動産の存

在を有効要件としているから、本件建物についてなされた本登記は、本件畜舎につ

いては無効であると判断したことは正当である。

論旨は、叙上と異なる見解に立つて、原判決に登記法違反があると非難するもの

であつて、採るを得ない。

同第二点について。

原審の確定したところによれば、上告人は、昭和三三年七月中、訴外Dに対し三

〇万六、〇〇〇円を貸与し、同人が同年八月二日の弁済期に弁済しないときは、債

務の支払に代え、当然に、同人所有の本件建物の所有権の移転を受けるものとする

旨の停止条件付代物弁済契約を締結し、即日、売買予約を原因とする所有権移転請

求権保全の仮登記をしたところ、Dが右弁済期に弁済しなかつたので、本件建物は

上告人の所有となつたものであり、一方、本件建物について、訴外E石油販売株式

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会社から強制競売の申立があり(昭和三三年七月五日競売開始決定の登記)、昭和

三五年八月三一日、被上告人B2がこれを競落し、その後、本件建物のうち本件畜

舎は、被上告人B1が買い受けたものである。叙上の事実関係によれば、被上告人

B2および同B1は、上告人の本件畜舎の所有権取得につき、その登記の欠缺を主

張しうべき正当な利益を有する第三者であるといわなければならず、したがつて、

上告人が、被上告人B1がした本件畜舎の取毀により本件畜舎の所有権を侵害され

たとして、同被上告人およびこれと共同不法行為者の関係に立つと主張する被上告

人B2に対し、損害賠償を請求するためには、その前提として、本件畜舎の所有権

取得につき有効な登記を具備しなければならないわけである。しかるに、原判決に

よれば、上告人は、昭和三九年三月一日、本件建物につき前記仮登記に基づく本登

記をしたが、当時本件建物中畜舎は被上告人B1の手によつて取り毀わされており、

右登記中畜舎に関する部分は無効なのであるから(右判断の正当なことは前段に説

示した)、上告人は、被上告人両名に対し、本件畜舎の所有権取得を対抗すること

ができない。したがつて、本件損害賠償請求はその前提を欠くものといわなければ

ならない。原判決に、所論判例違反があるとは考えられない。

論旨は、これと異なる見解に基づきは原判決を論難するものであつて、採用でき

ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

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裁判官 田 中 二 郎

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